演劇

リーディング公演『ローマ帝国の三島由紀夫』

12/30 シアター風姿花伝で『ローマ帝国の三島由紀夫』 作:古川日出男 演出:木村龍之介 2018年「新潮」に掲載された戯曲は読んでいなくて、冒頭の部分だけ新潮社のサイトで立ち読みできたのでそこだけ目を通して公演に臨んだ。舞台上にはパイプ椅子が並べら…

梅棒『風桶』

12/28 本多劇場で梅棒『風桶』 作・総合演出:伊藤今人 振付・監修:梅棒 梅棒の本公演を観るのは2作目だけど、今回も爆音とド派手な照明とキレの良いダンスで観客を楽しませることに全力全開の舞台。江戸時代にタイムスリップしたバンドマンが人助けに奔走…

『泥人魚』

12/22 シアターコクーンで『泥人魚』 作:唐十郎 演出:金守珍 <公式サイト掲載のあらすじ> 港の町を去って、今は都会の片隅にあるブリキ店で暮らす蛍一(磯村勇斗)。店主の静雄(風間杜夫)は、まだらボケの詩人だ。陽が落ちると急にダンディな夜の詩人…

『徒花に水やり』

12/16 ザ・スズナリで『徒花に水やり』 作・演出:土田英生 出演者5人のうち4人が劇作家であり演出家というある意味おそろしい座組で、やくざ一家に育った姉弟たちの、とある一日を描くホームコメディー劇。長女の千秋(千葉雅子)、長男の春吉(土田英生)…

『彼女を笑う人がいても』

12/14 世田谷パブリックシアターで『彼女を笑う人がいても』 作:瀬戸山美咲 演出:栗山民也 タイトルにある“彼女”とは樺美智子のことであり、60年安保を題材にしているのだけれども、主人公を新聞記者に設定したことで政府や社会に対するメディアの姿勢とい…

城山羊の会『ワクチンの夜』

12/9 三鷹市芸術文化センター星のホールで『ワクチンの夜』 作・演出:山内ケンジ ワクチン接種をした夜に、ある家族の居間で起こる出来事。城山羊の会は『埋める女』『あたしに触らないで!』と観てこれが3作目だけど、今回も岩谷健司と岡部たかしの安定感…

NODA・MAP番外公演『THE BEE』

12/8 東京芸術劇場シアターイーストで『THE BEE』 原作:筒井康隆 脚本・演出:野田秀樹 当日券抽選に毎週挑戦して5回目にしてやっと当選。念願叶って『THE BEE』を観ることができた。野田さんの文章にあるとおり、予想のできない展開に目が釘付けの75分。暴…

風姿花伝プロデュース『ダウト ~疑いについての寓話』

12/8 シアター風姿花伝で『ダウト ~疑いについての寓話』 作:ジョン・パトリック・シャンリィ 翻訳・演出:小川絵梨子 1964年のニューヨーク、ブロンクスのカトリック系ミッションスクールが舞台。口やかましく厳格な校長のシスター・アロイシス(那須佐代…

ナイロン100℃『イモンドの勝負』

12/1 本多劇場でナイロン100℃『イモンドの勝負』 作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ ナンセンスコメディと謳って上演された今作は、意味を追ったり理屈で考えようとしてもこれは迷子になるだけだと幕開き早々に気が付いたので、手練れの俳優たちの掛け…

『イロアセル』

11/24 新国立劇場小劇場で『イロアセル』 作・演出:倉持裕 新国立劇場フルオーディション企画の第四弾。2011年に鵜山仁演出で上演された作品を今回は作家自身の演出によって上演するものだ。物語の舞台になるのは言葉にひとりひとり違った色がついている島…

TRASHMASTERS『ガラクタ』

11/22 下北沢駅前劇場で『ガラクタ』 作・演出:中津留章仁 核のゴミ処分場誘致をめぐって賛成派と反対派に二分された町を舞台に、住人たちの対立を描いた作品。この国の未来をどう考えるかという問題提起と、政治を変えるのは国民なのだというはっきりとし…

KUNIO10『更地』

11/12 世田谷パブリックシアターで KUNIO10『更地』 作:太田省吾 演出・美術:杉原邦生 元々の太田省吾の舞台では、初老の夫婦が自分たちの家が昔そこにあり今は更地になっている場所にやってきて過去の出来事や思い出を振り返るというものだったそうで、今…

阿佐ヶ谷スパイダース『老いと建築』

11/10 吉祥寺シアターで阿佐ヶ谷スパイダース『老いと建築』 作・演出:長塚圭史 築40年の古家に一人で暮らす老婆。亡くなった夫の命日で子供たちや孫たちが久しぶりに訪れているが、老婆の物言いは捻くれて意地悪くとても冷たい。特に娘との仲は険悪で、長…

はえぎわ『ベンバー・ノー その意味は?』

11/8 新宿シアタートップスで、はえぎわ『ベンバー・ノー その意味は?』 脚本・演出:ノゾエ征爾 はえぎわは前回2019年の20周年記念公演を観た時にも思ったのだけど、長年劇団をやっている強みというかお互いに気心が知れた者同士という空気感が良い。ピリ…

劇団た組『ぽに』

11/3 KAAT神奈川芸術劇場大スタジオで劇団た組『ぽに』 作・演出:加藤拓也 <公式HP掲載のあらすじ> 円佳(23歳 松本穂香)はやりたい事が見つからず、ひとまず海外に行く事を目標として、時給1000円でバイトシッターをしている。好きな人である誠也(24歳 …

iaku『フタマツヅキ』

10/28 シアタートラムで iaku『フタマツヅキ』 作・演出:横山拓也 iakuを初めて観たのは2017年に新宿眼科画廊の地下スペースで上演された「粛々と運針」で、タイトルがいいなという理由だけでチケットを予約して、観てみたらこれがとても胸を打たれる会話劇…

ほろびて『ポロポロ、に』

10/27 北千住BUoYで、ほろびて『ポロポロ、に』 作・演出:細川洋平 キャンプにやってきた兄妹とその友人の男。街角のコインランドリーで知り合いになった3人の女。現在と過去を行き来しながらふたつの物語が交差していく。暴力や虐待の被害者、自分の居場所…

M&Oplaysプロデュース『いのち知らず』

10/26 本多劇場で『いのち知らず』 作・演出:岩松了 山間のとある施設で守衛として働くロク(勝地涼)とシド(仲野太賀)。幼馴染の2人はお金を貯めていつかガソリンスタンドを経営するという夢を持っている。古参の守衛モオリ(三石研)に、この施設は死んだ人間…

入江雅人グレート一人芝居『パンクスタイル 11』

10/19 APOCシアターで入江雅人グレート一人芝居『パンクスタイル 11』 7月に続いて入江雅人の一人芝居を堪能。前回新作として発表された「空に見せる」が「空へ」「下田へ」「東京へ」「最後はあの時へ」という4つのエピソードを繋いだ長編実録変態ファンタ…

KAKUTA『或る、ノライヌ』

9/30 すみだパークシアター倉でKAKUTA『或る、ノライヌ』 作・演出:桑原裕子 KAKUTAの舞台は「らぶゆ」「往転」「ひとよ」と観て4作品目だけれど、今回は出演者が劇団員のみということで、各メンバーをよく知る主宰の桑原裕子によるおそらく当て書きだろう…

『物理学者たち』

9/22 本多劇場で『物理学者たち』 作:フリードリヒ・デュレンマット 上演台本・演出:ノゾエ征爾 この作品は1961年に書かれたものだそうで、東西の冷戦、核戦争の脅威といった当時の世界情勢の緊迫感を背景に、科学の発展が人間社会にもたらす貢献と弊害に…

『近松心中物語』

9/15 KAAT神奈川芸術劇場ホールで『近松心中物語』 作:秋元松代 演出:長塚圭史 観劇前に秋元松代の戯曲を読み直して、昨年観た「常陸坊海尊」は東北の言葉、「近松心中物語」では大阪の言葉という、方言で語ることから伝わる力、方言が持つ魅力というもの…

『2Cheat5』

9/8 駅前劇場で山内圭哉と福田転球のユニット公演『2Cheat5』 「2Cheat」は福田転球という俳優の面白さをもっと世の中のひとに知ってもらいたいという山内圭哉の想いから始まったのだそうで、今回が第5回公演。私は初めて観てきた。短編を連ねたオムニバス…

シス・カンパニー『友達』

9/8 新国立劇場小劇場でシス・カンパニー公演『友達』 作:安部公房 演出・上演台本:加藤拓也 公式サイト掲載の<あらすじ> ある夜、ひとりの男(鈴木浩介)の日常に忍び寄る、見知らぬ「9人家族」の足音。祖母(浅野和之)、父母(山崎一・キムラ緑子)、3…

小松台東『デンギョー!』

9/2 スズナリで小松台東『デンギョー!』 作・演出:松本哲也 宮崎電業という小さな会社で働く人々の日々を、全編宮崎弁で描く群像劇。経営陣と現場の対立、仕事に対するプライド、愛憎入り混じる衝突。最後はいわゆる同じ釜の飯を食う仲間として一緒に頑張…

『湊横濱荒狗挽歌~新粧、三人吉三。』

8/31 KAAT神奈川芸術劇場大スタジオで『湊横濱荒狗挽歌~新粧、三人吉三。』(みなとよこはまあらぶるいぬのさけび~しんそう、さんにんきちさ。) 作:野木萌葱 演出:シライケイタ まずタイトルに「三人吉三」と謳っているけれども、この作品は「三人吉三…

ケムリ研究室『砂の女』

8/24 シアタートラムで『砂の女』 原作:安部公房 上演台本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ チケット販売初日にあっという間に完売になって諦めていたのだけど、その後に半立ち見席が追加販売されて購入できたので、トラムの一番後ろで(寄りかかれる…

EPOCH MAN『オーレリアンの兄妹』

8/18 下北沢駅前劇場でEPOCH MAN『オーレリアンの兄妹』 作・演出・美術:小沢道成 音楽:中村 中 小沢道成と中村中が、親の虐待から逃げ出した兄妹を演じる2人芝居。紛れ込んだ“おかしな”家でこれからどうするかを話し合ううちに、2人の思いは次第にすれ違…

さいたまネクスト・シアター最終公演『雨花のけもの』

8/12 彩の国さいたま芸術劇場小ホールで『雨花のけもの』 作:細川洋平、演出:岩松了 ほろびての細川洋平が新作を書き下ろし、岩松了が演出するということで、さいたまネクスト・シアターを最終公演にして初めて観てきた。社会に適応できない若者たちを集め…

入江雅人グレート一人芝居『パンクスタイル 10』

7/29 APOCシアターで『パンクスタイル 10』 入江雅人の一人芝居『パンクスタイル』を観るのはこれが2回目だ。今回もまず受付での消毒・検温・チケット精算から本人が行ない、パイプ椅子を30席ほど並べたスペースにお客さんが収まったところで「では、やりま…