『ツダマンの世界』

11/30 シアターコクーンで『ツダマンの世界』 作・演出:松尾スズキ 井伏鱒二と太宰治の師弟関係に興味があり、それを基にして書いた作品だと松尾スズキがインタビューに答えている。昭和初期を舞台にツダマンこと津田万治(安部サダヲ)の激動の人生を、津田…

『アムステルダム』『パラレル・マザーズ』『君だけが知らない』

11/1 TOHOシネマズ日比谷で『アムステルダム』 11/22 Bunkamuraル・シネマで『パラレル・マザーズ』 11/29 シネマート新宿で『君だけが知らない 『アムステルダム』 カラフルな映像は目に楽しく主演3人の演技はとても良かったけれども、見どころはそこだけと…

梅棒『シン・クロスジンジャーハリケーン』

11/24 サンシャイン劇場で梅棒『シン・クロスジンジャーハリケーン』 2015年に上演した作品を梅棒メンバーのみで再演とのことで、私は今回が初見。サンシャイン劇場も初めてだったのだけど、想像以上に舞台が近く感じられて割と見やすい劇場だった。ひとりの…

午前十時の映画祭『蜘蛛巣城』

11/23 TOHOシネマズ日本橋で『蜘蛛巣城』4Kデジタルリマスター版 戦国時代。武将・鷲津武時(三船敏郎)と三木義明(千秋実)は謀反を鎮圧し、主君が待つ蜘蛛巣城へと馬を走らせていた。雷鳴轟く中、「蜘蛛手の森」で道に迷った二人は、不気味な妖婆(浪花千…

『私の一ヶ月』

11/17 新国立劇場小劇場で『私の一ヶ月』 作:須貝英 演出:稲葉賀恵 新国立劇場の新シリーズ【未来につなぐもの】の第一弾。英国ロイヤルコート劇場と新国立劇場がタッグを組んで、若い劇作家のために実施したワークショップから生まれた新作とのこと。幕が…

城山羊の会『温暖化の秋』

11/16 KAAT神奈川芸術劇場大スタジオで『温暖化の秋』 作・演出:山内ケンジ インタビューでタイトルの意味を聞かれた山内ケンジが「温暖化は気候のことではなくて、心のありよう」だと答えていた。と言われて芝居を観ても何を指して温暖化なのかはよく分か…

ジョンソン&ジャクソン『どうやらビターソウル』

11/15 ザ・スズナリで『どうやらビターソウル』 作・演出:ジョンソン&ジャクソン 俳優の大倉孝二と脚本家・演出家のブルー&スカイによるユニット、ジョンソン&ジャクソン。私は今回が初見なのだけど「くだらない、何の役にもたたない芝居作りを目指す」…

コンプソンズ『われらの狂気を生き延びる道を教えてください』

11/10 浅草九劇でコンプソンズ『われらの狂気を生き延びる道を教えてください』 脚本・演出:金子鈴幸 とあるラーメン屋の店主、よしこ。彼女はラーメン界でも「元アイドル」という異色の肩書きで営業していた。「究極の一杯」を探求し、ラーメン道を日々邁…

こまつ座『イヌの仇討』

11/8 紀伊國屋ホールで、こまつ座『イヌの仇討』 作:井上ひさし 演出:東憲司 時は元禄十五年(一七〇二)十二月十五日の七ツ時分(午前四時頃)。有明の月も凍る寒空を、裂帛の気合、不気味な悲鳴、そして刃に刃のぶつかる鋭い金属音が駆け抜ける。大石内蔵助…

『レオポルトシュタット』

10/26 新国立劇場中劇場で『レオポルトシュタット』 作:トム・ストッパード 翻訳:広田敦郎 演出:小川絵梨子 20世紀初頭のウィーン。レオポルトシュタットは古くて過密なユダヤ人居住区だった。その一方で、キリスト教に改宗し、カトリック信者の妻を持つ…

NTLive『ストレイト・ライン・クレイジー』

10/25 TOHOシネマズ日本橋で『ストレイト・ライン・クレイジー』 作:デヴィッド・ヘア 演出:ニコラス・ハイトナー youtu.be ニューヨークのマスタービルダー(創造主)と呼ばれた男、ロバート・モーゼスは権力者を操りNYの労働者の生活を向上させるために4…

『パラダイス』

10/19 シアターコクーンで『パラダイス』 作・演出:赤堀雅秋 舞台は東京、新宿。表層的には豊かに⾒える平和ぼけしたこの街で、 虚無感を抱え、底辺で蠢く⼈間たちの不⽑な戦いと裏切り、つかの間の栄枯盛衰の物語。 高齢者を狙った振り込め詐欺グループの…

『秘密の森の、その向こう』

10/18 ヒューマントラストシネマ有楽町で『秘密の森の、その向こう』 youtu.be 8才のネリーは両親と共に、森の中にぽつんと佇む祖母の家を訪れる。大好きなおばあちゃんが亡くなったので、母が少女時代を過ごしたこの家を、片付けることになったのだ。だが、…

M&Oplaysプロデュース『クランク・イン!』

10/12 本多劇場で『クランク・イン!』 作・演出:岩松了 1人の新人女優・堀美晴が亡くなった。そのために暗礁に乗り上げていた映画の製作が「この映画を完成させなければ!」という関係者たちの思いのもと、クランクインの時を迎えた。監督・並之木顕之(…

平成中村座十月歌舞伎 第二部から『唐茄子屋 不思議国之若旦那』

10/5 浅草仮設劇場で平成中村座『唐茄子屋 不思議国之若旦那』 作・演出:宮藤官九郎 平成中村座で宮藤官九郎作の新作歌舞伎ということで、初日の舞台を観てきた。原作は落語「唐茄子屋政談」で、そこに不思議の国のアリスの世界が混ざってくるという内容だ…

ほりぶん『一度しか』

10/4 三鷹星のホールで、ほりぶん『一度しか』 作・演出:鎌田順也 今年2月にほりぶんの『かたとき』を観に行った時に、秋に「牛久沼8」を上演予定というチラシを見て、これは楽しみだなと思っていたのだけど、この新作に変更されたのはMITAKA“Next”Selectio…

モチロンプロデュース『阿修羅のごとく』

9/30 シアタートラムで『阿修羅のごとく』 作:向田邦子 脚色:倉持裕 演出:木野花 あの伝説のTVドラマをこのメンバーで舞台化、ということで仮チラシを見た瞬間から絶対に観に行きたいと思っていた公演。予想通りチケットはあっという間に完売で、もうこれ…

『ガラスの動物園』

9/28 新国立劇場中劇場で『ガラスの動物園』 作:テネシー・ウィリアムズ 演出:イヴォ・ヴァン・ホーヴェ この戯曲は「追憶の劇」である。舞台は不況時代のセントルイスの裏町。メインキャラクターはアマンダ、彼女の娘のローラ、息子のトムの 3 人。生活に…

『スワンソング』

9/28 シネスイッチ銀座で『スワンソング』 youtu.be 現役生活を退き、老人ホームでひっそりと暮らすパットは思わぬ依頼を受ける。かつてのパットの顧客で、街で一番の金持ちでもあったリタが「死化粧はパットに頼んでほしい」という遺言を残していたのだ。ゲ…

劇団た組『ドードーが落下する』

9/27 KAAT神奈川芸術劇場大スタジオで劇団た組『ドードーが落下する』 作・演出:加藤拓也 「見えなかったら大丈夫と思ってたのに。実は価値が無いものは見えない方が世間はすごく良くなるんですよ。だから僕をそうしてもらったんですね、こいつに 」 イベン…

『ブエノスアイレス』

9/20 ヒューマントラストシネマ有楽町で『ブエノスアイレス』(1997年) 映画の舞台は1995年。香港から南米アルゼンチンへやって来たウィン(レスリー・チャン)とファイ(トニー・レオン)。何度も喧嘩別れをしてはヨリを戻すことを繰り返してきた2人は今回…

秀山祭九月大歌舞伎 第三部『仮名手本忠臣蔵 ―祇園一力茶屋の場― 』

9/14 歌舞伎座で『仮名手本忠臣蔵 ―祇園一力茶屋の場― 』 二世吉右衛門一周忌追善と謳った秀山祭。故人に所縁の演目を揃えた今月、第一部も観たかったのだけど時間が合いそうになく、仁左衛門さんが由良之助を演じる第三部『仮名手本忠臣蔵』を観てきた。茶…

文学座『マニラ瑞穂記』

9/14 文学座アトリエで『マニラ瑞穂記』 作:秋元松代 演出:松本祐子 松本祐子コメント アジア初のオリンピック開催という祭りで日本が華やいでいた1964年に、この「マニラ瑞穂記」は書かれました。その舞台は1898年~99年の独立戦争が起きているフィリピン…

NTLive『ヘンリー五世』

9/7 シネ・リーブル池袋でNTLive『ヘンリー五世』 作:ウィリアム・シェイクスピア 演出:マックス・ウェブスター youtu.be この作品が上演されたドンマーウェアハウスは、舞台を客席が3方から囲むキャパ251席の劇場で、客席数からいうとシアタートラムぐら…

劇団チョコレートケーキ『ガマ』

8/31 東京芸術劇場シアターイーストで劇団チョコレートケーキ『ガマ』 脚本:古川健 演出:日澤雄介 世界と環境が目まぐるしく変化するなか私たちの国をもう一度見つめなおすためにこれまでの作品を連作で振り返ることとしました。私たちの今の立ち位置を確…

オフィスコットーネプロデュース『加担者』

8/30 下北沢の駅前劇場で『加担者』 作:フリードリヒ・デュレンマット 演出:稲葉賀恵(文学座) 大学で生物学の研究をしていたドクは、高額報酬を提示され民間企業に移籍する。しばらくは豪勢な生活を謳歌していたが、経済危機により失業。とりあえずタク…

『VAMP SHOW』

8/24 PARCO劇場で『VAMP SHOW』 作:三谷幸喜 演出:河原雅彦 山奥の駅で起きる一夜の出来事を描いたワンシチュエーションコメディ。序盤は少々テンポが悪いというか段取りを意識し過ぎというか、全体にギクシャクした印象を受けたのだけど、物語が進むにつ…

入江雅人グレート一人芝居『阿佐ヶ谷の狼男』

8/18 APOCシアターで入江雅人グレート一人芝居『阿佐ヶ谷の狼男』 作・演出・出演:入江雅人 今回はいつものパンクスタイルとは違って、照明や音響のスタッフも入った長編一本の上演。ご本人いわく一人芝居の集大成となる“本公演”。小劇場の役者を主人公にし…

『世界は笑う』

8/17 シアターコクーンで『世界は笑う』 作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 舞台は、昭和30年代初頭の東京・新宿。敗戦から10年強の月日が流れ、巷に「もはや戦後ではない」というフレーズが飛び交い、“太陽族”と呼ばれる若者の出現など解放感に活気づ…

『日本のいちばん長い日』

8/13 池袋の新文芸坐で『日本のいちばん長い日』(1967年) 昨年読んだ半藤一利の原作が非常に面白かったのだけれども映画はこれまで未見で、毎年8月に本作を上映しているという新文芸坐でようやく観ることができた。玉音放送が流されるまでの24時間に起きた…