ケムリ研究室『砂の女』

8/24 シアタートラムで『砂の女』 原作:安部公房 上演台本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

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チケット販売初日にあっという間に完売になって諦めていたのだけど、その後に半立ち見席が追加販売されて購入できたので、トラムの一番後ろで(寄りかかれるので半)立ち見で観てきた。何というか、ものすごくプロの舞台、プロの仕事を観せてもらったという感じだった。音楽も照明もプロジェクションマッピングも美術もステージングも、個々の要素の完成度がとても高いのはKERAさん作品では毎回そうではあるのだけれど、この作品では更に研ぎ澄まされた感覚があって、物語自体のスリリングな展開が一層際立つようだ。もちろん俳優陣もとても良くて「女」を演じた緒川たまきも「男」を演じた仲村トオルもいいけれど、原作にないKERAさん創作の場面も含め何役も兼ねるオクイシュージ、武谷公雄、吉増裕士、廣川三憲の4人が作品の世界を豊かに膨らませていた。ケムリ研究室の1作目「ベイジルタウンの女神」は楽しい作品だけど少々物足りないと感じていて、それがこの2作目では前作と180度違った角度から作品を立ち上げて観客に突き付け、私はグサグサと胸を刺され通しだった。ケムリ研究室の次回公演も是非また観たい。そして観劇後やっぱり原作を読み直したくなって、安部公房の「砂の女」再読中。