入江雅人グレート一人芝居『パンクスタイル 11』

10/19 APOCシアターで入江雅人グレート一人芝居『パンクスタイル 11』f:id:izmysn:20211021154950j:plain

7月に続いて入江雅人の一人芝居を堪能。前回新作として発表された「空に見せる」が「空へ」「下田へ」「東京へ」「最後はあの時へ」という4つのエピソードを繋いだ長編実録変態ファンタジーになっていた。「空に見せる」だけ観た時の印象からは、まさかこんな展開が待っているとは全く予想できず、衆院選ネタに政権批判を入れながら“多様性”について問いかけ、最後はすごく温かいところに着地する作品になっていた。そして今回は入江雅人が福岡弁で「帰郷」と並んで上演し続けているという名作「ブロークバックマウンテン」をやっと初めて観ることができた。「帰郷」は一人芝居から発展した群像劇を2019年に俳優座劇場で観てすごく胸を打たれて(成志さんのしげちゃん、最高だった)ぽろぽろ泣いた青春の終わりとゾンビの物語だったけど、「ブロークバックマウンテン」は50代になった高校の同級生二人が昔のように地元の山に登る様を描いた男同士の友情SF物語。隕石の衝突で地球滅亡まであと数日という設定がSF部分。病気療養中のひとりを励ましながら頂上を目指し、その会話から二人が長い年月友達として築いてきた関係が透けてみえてくる。頂上に着いてあの頃みたいにラジカセで聞く曲は佐野元春のSOMEDAY。ノスタルジーと切なさにギュンとなる、とても良い作品だった。ようやく観られてほんとによかった。あと客入れの時に流れる曲がルースターズで、これまた懐かしさに思わず声が出た。