小松台東『デンギョー!』

9/2 スズナリで小松台東『デンギョー!』 作・演出:松本哲也

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宮崎電業という小さな会社で働く人々の日々を、全編宮崎弁で描く群像劇。経営陣と現場の対立、仕事に対するプライド、愛憎入り混じる衝突。最後はいわゆる同じ釜の飯を食う仲間として一緒に頑張っていこうという結末に新しさはないけれども、誰かと支え合い助け合う中から生まれる感情は人と人の繋がりが希薄な今でも変わらずにあるのだと思う。障害を持つ一人の社員をほかの全員がそのまま普通に受けとめて接しているのも良い。それぞれの登場人物を演じた俳優陣は皆さん達者で好演だったのだけど、劇中一点、再婚相手をどこで見つけたのかと問われた営業部長が「フィリピンパブ」と答えたところで客席から笑い声が起こり、続けての「贅沢は言っていられないからな」という台詞にどっと笑う客席の反応には脊髄反射的に引いてしまった。国籍、ジェンダー、職業に対するあからさまな上から目線という自覚もおそらく無いまま笑っている声に非常に暗い気持ちになった。