演劇

『ドライブイン カリフォルニア』

6/1 本多劇場で『ドライブイン カリフォルニア』 作・演出:松尾スズキ 舞台は、裏手に古い竹林が広がるとある田舎町のドライブイン。経営者のアキオ(阿部サダヲ)は妹に対して、兄妹愛と括ってしまうにはあまりにも純粋な思いを抱いていた。妹マリエ(麻生…

小松台東『シャンドレ』

5/31 三鷹市芸術文化センター星のホールで小松台東『シャンドレ』 作・演出:松本哲也 2020年の初演の舞台は観ていないので今回の再演が初見。4人の俳優で何役も演じ分け、一つの部屋だけで物語が展開するこれまでの小松台東の作品とは趣きが違って、会社の…

イキウメ『関数ドミノ』

5/19 東京芸術劇場シアターイーストで、イキウメ『関数ドミノ』 作・演出:前川知大 ある地方都市で奇妙な交通事故が起こる。見渡しの悪い交差点、車の運転手は歩行者を発見するが、既に停止できる距離ではない。しかし車は歩行者の数センチ手前で、まるで透…

前進座『杜若艶色紫 お六と願哲』

5/19 国立劇場大劇場で前進座『杜若艶色紫 お六と願哲』 作:鶴屋南北 鶴屋南北のこの演目はこれまで観たことがなく、前進座では41年ぶりの上演との事。松竹では20年ほど前に福助さんが演じているらしい。遊女八ツ橋と悪婆お六という対照的な役をひとりの女…

『ロビー・ヒーロー』

5/18 新国立劇場小劇場で『ロビー・ヒーロー』 作:ケネス・ロナーガン 翻訳:浦辺千鶴 演出:桑原裕子 マンハッタンにある高層マンションの広いロビー。 警備担当のジェフは、人生の目的もなくこの仕事についている。クソ真面目で向上心のある上司ウィリア…

『青空は後悔の証し』

5/17 シアタートラムで『青空は後悔の証し』 作・演出:岩松了 パイロットを退職したロウ(風間杜夫)は以前は息子のミキオ(豊原功補)とその妻ソノコ(石田ひかり)と同居していたが三年前に別居し、今は家政婦の玉田(佐藤直子)がロウに仕えている。ロウ…

『みんな我が子 ーAll My Sonsー』

5/11 シアターコクーンで『みんな我が子』 作:アーサー・ミラー 演出:リンゼイ・ポズナー 第二次世界大戦後のアメリカ。戦争特需で財をなしていたジョー・ケラー(堤真一)は、一家で幸せそうに暮らしていた。隣人の医師ジム(山崎一)とも良好な関係だ。…

赤堀雅秋プロデュース『ケダモノ』

4/27 本多劇場で『ケダモノ』 作・演出:赤堀雅秋 あらすじ【公式サイトより抜粋】 神奈川県のはずれ。駅前の繁華街以外は寂れ、奥には山ばかりが広がる田舎町。真夏。リサイクルショップを経営する手島(大森南朋)は、アヤしげな自称・映画プロデューサー…

ゴジゲン『かえりにち』

4/26 ザ・スズナリで、ゴジゲン『かえりにち』 作・演出:松居大悟 台風が来そうで来なかった避難所を舞台に、なかなか帰りたがらない男たちの一夜を描く物語。松居大悟が「角のない丸くて優しい話にしたい」と語っている記事を読んだけれども、何か特別なこ…

ヒトハダ『僕は歌う、青空とコーラと君のために』

4/21 浅草九劇で『僕は歌う、青空とコーラと君のために』 作・演出:鄭義信 ヒトハダの旗揚げ公演、初日を観てきた。戦後のアメリカ軍占領下で、男性コーラスグループとして基地周りをしているメンバーたちの物語が、歌や踊りと共に描かれる。音楽劇といって…

『アンチポデス』

4/15 新国立劇場小劇場で『アンチポデス』 作:アニー・ベイカー 翻訳:小田島創志 演出:小川絵梨子 ある会議室に男女8人が集められている。そこがどこであるのか、いつであるのかも不明だが、リーダーであるサンディのもと、彼らは企画会議として「物語を…

『広島ジャンゴ 2022』

4/13 シアターコクーンで『広島ジャンゴ 2022』 作・演出:蓬莱竜太 <公式サイトのあらすじ> 舞台は現代の広島の牡蠣工場。周囲に合わせることをまったくしないシングルマザーのパートタイマー山本(天海祐希)に、シフト担当の木村(鈴木亮平)は、手を焼…

『もはやしずか』

4/12 シアタートラムで『もはやしずか』 作・演出:加藤拓也 康二と麻衣は長い期間の不妊に悩んでいる。やがて治療を経て子供を授かるが、出生前診断によって、生まれてくる子供が障がいを持っている可能性を示される。康二は過去のとある経験から出産に反対…

東京成人演劇部vol.2『命、ギガ長スW(ダブル)』

3/9『命、ギガ長スW』ギガ組(宮藤官九郎×安藤玉恵) 3/23『命、ギガ長スW』長ス組(三宅弘城×ともさかりえ) ザ・スズナリ 作・演出:松尾スズキ 2019年の松尾スズキと安藤玉恵の初演は、当日券に並んでチケット買って観て、もう本当に面白かったので、今…

『奇蹟 miracle one-way ticket』

3/23 世田谷パブリックシアターで、シス・カンパニー『奇蹟 miracle one-way ticket』作:北村想 演出:寺十吾 <公式サイトのあらすじ> 男の名は、法水連太郎のりみずれんたろう(井上芳雄)。警視庁などのコンサルタントも務める私立探偵である。そして、…

オフィスコットーネプロデュース『サヨナフ—ピストル連続射殺魔ノリオの青春』

3/14 シアター711でオフィスコットーネプロデュース『サヨナフ—ピストル連続射殺魔ノリオの青春』 作:大竹野正典 演出:松本祐子 オフィスコットーネが大竹野正典没後10年記念企画として上演した作品のうち「埒もなく汚れなく」「山の声」「さなぎの教室」は2…

関西演劇祭 in Tokyo オパンポン創造社『最後の晩餐』、くによし組『眠る女とその周辺について』

3/9 新宿シアタートップスで、オパンポン創造社『最後の晩餐』作・演出:野村有志、くによし組『眠る女とその周辺について』作・演出:國吉咲貴 関西演劇祭で受賞した団体の作品を東京で上演するという企画。ならば観たことのない団体を選んで観るべきなのだ…

DULL-COLORED POP『プルーフ/証明』

3/7 王子小劇場で DULL-COLORED POP『プルーフ/証明』 作:デヴィッド・オーバーン 翻訳・演出:谷賢一 <公式サイト掲載のあらすじ> シカゴ、冬。天才数学者・ロバートは103冊のノートを遺して世を去った。家に引きこもり人を寄せ付けようとしない次女キ…

『冬のライオン』

3/2 東京芸術劇場プレイハウスで『冬のライオン』 作:ジェームズ・ゴールドマン 翻訳:小田島雄志 演出:森進太郎 1183年のクリスマス、イングランドの国王ヘンリー二世のもとに集まった妻のエレノア、三人の息子たち(リチャード、ジェフリー、ジョン)、…

ほりぶん『かたとき』

2/24 紀伊國屋ホールで、ほりぶん『かたとき』 作・演出:鎌田順也 前回公演「これしき」の世界(女性たちによる街の自警団)を引き継ぎつつ、客演の又吉直樹を真ん中に据えつつ、会場が今までになく大きな紀伊國屋ホールになっても、ほりぶんの作品はいつも…

『ラビット・ホール』

2/23 KAAT神奈川芸術劇場大スタジオで『ラビット・ホール』 作:デヴィッド・リンゼイ=アベアー 上演台本:篠崎絵里子 演出:小山ゆうな 【公式サイト掲載のあらすじ】 ニューヨーク郊外の閑静な住宅街に暮らすベッカとハウイー夫妻。 彼らは8カ月前、4歳…

ほろびて『苗をうえる』

2/22 下北沢OFF・OFFシアターで、ほろびて『苗をうえる』 作・演出:細川洋平 左手が刃になってしまった女子高生とその母親。母親がつきあっている無職の男。認知症になった老婆と、彼女の世話をしている孫の小学生男子。5人の登場人物によって描かれたのは…

『シラノ・ド・ベルジュラック』

2/16 東京芸術劇場プレイハウスで『シラノ・ド・ベルジュラック』 作:エドモン・ロスタン 脚色:マーティン・クリンプ 翻訳・演出:谷賢一 マーティン・クリンプ脚色、ジェームズ・マカヴォイがシラノを演じた「シラノ・ド・ベルジュラック」は、シラノの付…

コクーン歌舞伎『天日坊』

2/9 シアターコクーンで『天日坊』 原作:河竹黙阿弥 脚本:宮藤官九郎 演出・美術:串田和美 幕末以来長らく上演されることのなかった黙阿弥の戯曲を、宮藤官九郎の脚本で『天日坊』として復活上演したのが2012年。今回10年ぶりの再演ということで、私は今…

入江雅人グレート一人芝居『パンクスタイル 12』

2/4 APOCシアターで入江雅人グレート一人芝居『パンクスタイル 12』 数ヶ月に一度の楽しみ、入江雅人の一人芝居。今回は千秋楽の回を観てきた。満席(といっても30席)の盛況だったけど、初日は5枚しか売れていなかったらしい。当日友人たちが駆けつけてくれ…

Makino Play 『モンローによろしく』

2/3 座・高円寺1で Makino Play『モンローによろしく』 作・演出:マキノノゾミ 公式サイト掲載のあらすじ <STORY>物語は1941年、映画の都ハリウッド。新進気鋭の映画監督ビリーとその親友でもあるスター男優のキースは、これまでの常識を打ち破る野心作…

G. Garage///『リチャード三世』

1/27 すみだパークシアター倉で G. Garage///(ジーガレージスリースラッシュ)『リチャード三世』 原作:ウィリアム・シェイクスピア 翻訳:松岡和子 演出:河内大和 河内大和が主宰するG.Garage///の公演を初めて観てきた。河内大和のリチャードは期待通りとてもよか…

劇壇ガルバ『THE PRICE』

1/19 吉祥寺シアターで劇壇ガルバ『THE PRICE』 作:アーサー・ミラー 演出:桐山知也 親が遺した古い家具に買い取り価格をつけるという行為が、職業とか収入とか学歴とかに価値を見ようとする行為になり、価値とはいったい何を指すのか、誰が何を基準に人間…

モダンスイマーズ『だからビリーは東京で』

1/12 東京芸術劇場シアターイーストで、モダンスイマーズ『だからビリーは東京で』 作・演出:蓬莱竜太 モダンスイマーズの作品は句読点三部作から観ていて、前回の「ビューティフルワールド」もすごく良かったし、今作もとても楽しみにしていた。タイトルに…

前進座『一万石の恋』

1/4 浅草公会堂で前進座公演『一万石の恋』 前作は観ていないのだけど山田洋次監督と前進座が組んだ舞台の第二弾だそうで、お殿様が貧乏長屋の娘を見初めたことから起こる騒動を描いた人情喜劇。以前、山田洋次監督が補綴した「文七元結」を観た時にも思った…