演劇

『ツダマンの世界』

11/30 シアターコクーンで『ツダマンの世界』 作・演出:松尾スズキ 井伏鱒二と太宰治の師弟関係に興味があり、それを基にして書いた作品だと松尾スズキがインタビューに答えている。昭和初期を舞台にツダマンこと津田万治(安部サダヲ)の激動の人生を、津田…

梅棒『シン・クロスジンジャーハリケーン』

11/24 サンシャイン劇場で梅棒『シン・クロスジンジャーハリケーン』 2015年に上演した作品を梅棒メンバーのみで再演とのことで、私は今回が初見。サンシャイン劇場も初めてだったのだけど、想像以上に舞台が近く感じられて割と見やすい劇場だった。ひとりの…

『私の一ヶ月』

11/17 新国立劇場小劇場で『私の一ヶ月』 作:須貝英 演出:稲葉賀恵 新国立劇場の新シリーズ【未来につなぐもの】の第一弾。英国ロイヤルコート劇場と新国立劇場がタッグを組んで、若い劇作家のために実施したワークショップから生まれた新作とのこと。幕が…

城山羊の会『温暖化の秋』

11/16 KAAT神奈川芸術劇場大スタジオで『温暖化の秋』 作・演出:山内ケンジ インタビューでタイトルの意味を聞かれた山内ケンジが「温暖化は気候のことではなくて、心のありよう」だと答えていた。と言われて芝居を観ても何を指して温暖化なのかはよく分か…

ジョンソン&ジャクソン『どうやらビターソウル』

11/15 ザ・スズナリで『どうやらビターソウル』 作・演出:ジョンソン&ジャクソン 俳優の大倉孝二と脚本家・演出家のブルー&スカイによるユニット、ジョンソン&ジャクソン。私は今回が初見なのだけど「くだらない、何の役にもたたない芝居作りを目指す」…

コンプソンズ『われらの狂気を生き延びる道を教えてください』

11/10 浅草九劇でコンプソンズ『われらの狂気を生き延びる道を教えてください』 脚本・演出:金子鈴幸 とあるラーメン屋の店主、よしこ。彼女はラーメン界でも「元アイドル」という異色の肩書きで営業していた。「究極の一杯」を探求し、ラーメン道を日々邁…

こまつ座『イヌの仇討』

11/8 紀伊國屋ホールで、こまつ座『イヌの仇討』 作:井上ひさし 演出:東憲司 時は元禄十五年(一七〇二)十二月十五日の七ツ時分(午前四時頃)。有明の月も凍る寒空を、裂帛の気合、不気味な悲鳴、そして刃に刃のぶつかる鋭い金属音が駆け抜ける。大石内蔵助…

『レオポルトシュタット』

10/26 新国立劇場中劇場で『レオポルトシュタット』 作:トム・ストッパード 翻訳:広田敦郎 演出:小川絵梨子 20世紀初頭のウィーン。レオポルトシュタットは古くて過密なユダヤ人居住区だった。その一方で、キリスト教に改宗し、カトリック信者の妻を持つ…

『パラダイス』

10/19 シアターコクーンで『パラダイス』 作・演出:赤堀雅秋 舞台は東京、新宿。表層的には豊かに⾒える平和ぼけしたこの街で、 虚無感を抱え、底辺で蠢く⼈間たちの不⽑な戦いと裏切り、つかの間の栄枯盛衰の物語。 高齢者を狙った振り込め詐欺グループの…

M&Oplaysプロデュース『クランク・イン!』

10/12 本多劇場で『クランク・イン!』 作・演出:岩松了 1人の新人女優・堀美晴が亡くなった。そのために暗礁に乗り上げていた映画の製作が「この映画を完成させなければ!」という関係者たちの思いのもと、クランクインの時を迎えた。監督・並之木顕之(…

ほりぶん『一度しか』

10/4 三鷹星のホールで、ほりぶん『一度しか』 作・演出:鎌田順也 今年2月にほりぶんの『かたとき』を観に行った時に、秋に「牛久沼8」を上演予定というチラシを見て、これは楽しみだなと思っていたのだけど、この新作に変更されたのはMITAKA“Next”Selectio…

モチロンプロデュース『阿修羅のごとく』

9/30 シアタートラムで『阿修羅のごとく』 作:向田邦子 脚色:倉持裕 演出:木野花 あの伝説のTVドラマをこのメンバーで舞台化、ということで仮チラシを見た瞬間から絶対に観に行きたいと思っていた公演。予想通りチケットはあっという間に完売で、もうこれ…

『ガラスの動物園』

9/28 新国立劇場中劇場で『ガラスの動物園』 作:テネシー・ウィリアムズ 演出:イヴォ・ヴァン・ホーヴェ この戯曲は「追憶の劇」である。舞台は不況時代のセントルイスの裏町。メインキャラクターはアマンダ、彼女の娘のローラ、息子のトムの 3 人。生活に…

劇団た組『ドードーが落下する』

9/27 KAAT神奈川芸術劇場大スタジオで劇団た組『ドードーが落下する』 作・演出:加藤拓也 「見えなかったら大丈夫と思ってたのに。実は価値が無いものは見えない方が世間はすごく良くなるんですよ。だから僕をそうしてもらったんですね、こいつに 」 イベン…

文学座『マニラ瑞穂記』

9/14 文学座アトリエで『マニラ瑞穂記』 作:秋元松代 演出:松本祐子 松本祐子コメント アジア初のオリンピック開催という祭りで日本が華やいでいた1964年に、この「マニラ瑞穂記」は書かれました。その舞台は1898年~99年の独立戦争が起きているフィリピン…

劇団チョコレートケーキ『ガマ』

8/31 東京芸術劇場シアターイーストで劇団チョコレートケーキ『ガマ』 脚本:古川健 演出:日澤雄介 世界と環境が目まぐるしく変化するなか私たちの国をもう一度見つめなおすためにこれまでの作品を連作で振り返ることとしました。私たちの今の立ち位置を確…

オフィスコットーネプロデュース『加担者』

8/30 下北沢の駅前劇場で『加担者』 作:フリードリヒ・デュレンマット 演出:稲葉賀恵(文学座) 大学で生物学の研究をしていたドクは、高額報酬を提示され民間企業に移籍する。しばらくは豪勢な生活を謳歌していたが、経済危機により失業。とりあえずタク…

『VAMP SHOW』

8/24 PARCO劇場で『VAMP SHOW』 作:三谷幸喜 演出:河原雅彦 山奥の駅で起きる一夜の出来事を描いたワンシチュエーションコメディ。序盤は少々テンポが悪いというか段取りを意識し過ぎというか、全体にギクシャクした印象を受けたのだけど、物語が進むにつ…

入江雅人グレート一人芝居『阿佐ヶ谷の狼男』

8/18 APOCシアターで入江雅人グレート一人芝居『阿佐ヶ谷の狼男』 作・演出・出演:入江雅人 今回はいつものパンクスタイルとは違って、照明や音響のスタッフも入った長編一本の上演。ご本人いわく一人芝居の集大成となる“本公演”。小劇場の役者を主人公にし…

『世界は笑う』

8/17 シアターコクーンで『世界は笑う』 作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 舞台は、昭和30年代初頭の東京・新宿。敗戦から10年強の月日が流れ、巷に「もはや戦後ではない」というフレーズが飛び交い、“太陽族”と呼ばれる若者の出現など解放感に活気づ…

NODA・MAP『Q』:A Night At The Kabuki

8/12 東京芸術劇場プレイハウスでNODA・MAP『Q』:A Night At The Kabuki 作・演出:野田秀樹 音楽:QUEEN youtu.be 12世紀の日本、激しく対立する源氏と平家。その戦下、たった5日間――432,000秒の恋に身を焦がす若き瑯壬生(ろうみお)と愁里愛(じゅりえ)。…

シス・カンパニー『ザ・ウェルキン』

7/27 シアターコクーンで『ザ・ウェルキン』 作:ルーシー・カークウッド 演出:加藤拓也 1759年、英国の東部サフォークの田舎町。 人々が75年に一度天空に舞い戻ってくるという彗星を待ちわびる中、一人の少女サリー(大原櫻子)が殺人罪で絞首刑を宣告される…

劇団献身『最悪な大人』

7/14 新宿シアタートップスで劇団献身『最悪な大人』 作・演出:奥村徹也 かつてフードファイターだった父。大した理由もなく引きこもりがちな息子。これは、2人を繋ぐとある運送屋の、最悪な2、3日の話。 初見の劇団献身。ノンストップナンセンスコメディと…

こまつ座『紙屋町さくらホテル』

7/6 紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで、こまつ座『紙屋町さくらホテル』 作:井上ひさし 演出:鵜山仁 一人では出来ないこと、一人の人間の力を超えた何か大きな豊かなものとは...。 これは「人間の宝石」が織り成す物語。 昭和20年5月、広島の紙屋町さ…

『室温~夜の音楽~』

629 世田谷パブリックシアターで『室温~夜の音楽~』 作:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 演出:河原雅彦 【あらすじ】田舎でふたり暮らしをしているホラー作家・海老沢十三(堀部圭亮)と娘・キオリ(平野綾)。12年前、拉致・監禁の末、集団暴行を受け殺害…

範宙遊泳『ディグ・ディグ・フレイミング! ~私はロボットではありません~』

6/27 東京芸術劇場シアターイーストで範宙遊泳『ディグ・ディグ・フレイミング! ~私はロボットではありません~』 作・演出:山本卓卓 この作品についての記事はこちらの山本卓卓のインタビューがとても分かりやすかったのだけど、 範宙遊泳『ディグ・ディ…

『てなもんや三文オペラ』

6/15 PARCO劇場で『てなもんや三文オペラ』 作・演出:鄭義信 原作:ベルナルト・ブレヒト 音楽:クルト・ヴァイル 1956年(昭和31年)、秋、早朝。猫間川沿いの川岸には、トタン屋根のバラックが肩寄せあっている。その目と鼻の先、川向うに「大阪砲兵工廠」…

『貴婦人の来訪』

6/9 新国立劇場小劇場で『貴婦人の来訪』 作:フリードリヒ・デュレンマット 翻訳:小山ゆうな 演出:五戸真理枝 小都市ギュレン。「ゲーテが泊まり、ブラームスが四重奏曲を作った」文化都市も昔の話、今は荒れはて、町全体が貧困に喘いでいる。ある日、こ…

『パンドラの鐘』

6/8 シアターコクーンで『パンドラの鐘』 作:野田秀樹 演出:杉原邦生 太平洋戦争開戦前夜の長崎。ピンカートン財団による古代遺跡の発掘作業が行われている。考古学者カナクギ教授の助手オズは、土深く埋もれていた数々の発掘物から、遠く忘れ去られて古代…

オパンポン創造社『贅沢と幸福』 ほろびて『心白』

2021年のせんがわ劇場演劇コンクールでグランプリ受賞のほろびてとオーディエンス賞受賞のオパンポン創造社。受賞団体はせんがわ劇場主催公演に招待されるとのことで、5/27 オパンポン創造社『贅沢と幸福』、6/2 ほろびて『心白』を観てきた。 どちらも受賞…