『泥人魚』

12/22 シアターコクーンで『泥人魚』 作:唐十郎 演出:金守珍

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<公式サイト掲載のあらすじ> 港の町を去って、今は都会の片隅にあるブリキ店で暮らす蛍一(磯村勇斗)。店主の静雄(風間杜夫)は、まだらボケの詩人だ。陽が落ちると急にダンディな夜の詩人と化す。ある時店に現れたのは、詩人を「先生」と呼ぶ男、しらない二郎(岡田義徳)。二郎は詩人静雄の元門下生であり、蛍一とは、長崎の諫早漁港で共に働いた仲だった。干拓事業の賛否に揺れる漁港では、湾を分断する「ギロチン堤防」が内側の調整池の水を腐らせ不漁が続き、池の埋め立てに反対だった仲間の漁師が、次々と土建屋に鞍替えしていく。そんな現実に絶望した蛍一は、港の町を去ったのだ。一方の二郎は、実は港に派遣された「さぐり屋」だった。依頼主は、月の裏側を熟知しているとのたまう女、月影小夜子(愛希れいか)。二郎の裏切りを蛍一がなじっていると、蛍一を探して、やすみ(宮沢りえ)という女が現れる。少女時代、ガンさんという漁師に海で助けられ、その養女となった娘だ。「ヒトか魚か分からぬコ」と呼ばれるやすみは、ある約束を果たしに来たと言う。「人の海の貯水池で、言ったとおりの人魚になれ」と。蛍一の前で見せた片方の足には、一条のきらめくものがはりついていて──。

 

2003年に初演されたというこの作品を含め唐十郎作の舞台を観るのは初で、諫早湾干拓問題とか出てきて環境に対する目線を含みつつ、蛍一とやすみのラブストーリーでもあるのだけど、掴みどころはどこなのか私には全体に咀嚼しにくい内容だった。俳優陣はそれぞれ良いし特段新しさはないけれど全くつまらないというわけではない、けれども前のめりに引き込まれることもなく何というか淡々とした気分で観終わった。台詞にかぶせて流れる音楽の使い方とかはちょっと古い感じがした。宮沢りえ演じたやすみの幼さと妖艶さが混ざり合う魅力、ほぼ出ずっぱりの磯村勇斗の勘の良さ、岡田義徳の小気味よい台詞回しが印象に残った。あとどのシーンもやたら楽しそうで舞台が好きな気持ち全開の風間杜夫がとても良いと思った。