ゴジゲン『かえりにち』

4/26 ザ・スズナリで、ゴジゲン『かえりにち』 作・演出:松居大悟

台風が来そうで来なかった避難所を舞台に、なかなか帰りたがらない男たちの一夜を描く物語。松居大悟が「角のない丸くて優しい話にしたい」と語っている記事を読んだけれども、何か特別なことが起きるわけではない、その予感すら感じさせない、もっとずっとずっと手前の、人と人のほんとうに何でもないふとした瞬間を切り取って、そんな積み重ねの90分。観劇後にはなんだかとてもあたたかい気持ちになっていた。人間捨てたもんじゃないというか、なんだろう、人間っていいなあと素直に思えてしまうというか。客演でゴジゲン初参加の結城洋平が、ごくごく自然にその場にいる感じも、どこでブレスするんだと心配になるようなしゃべりも一気に聞かせてとても良い。それぞれの役には今まで以上にあて書きの強みが表れているように感じて、ああまさにゴジゲンというシーンには今回も大いに笑わせてもらった。メンバー各自の活躍の場が増えて忙しくなってきているゴジゲンだけど、年1回の劇団公演はこれからも楽しみにしたい。