関西演劇祭 in Tokyo オパンポン創造社『最後の晩餐』、くによし組『眠る女とその周辺について』

3/9 新宿シアタートップスで、オパンポン創造社『最後の晩餐』作・演出:野村有志、くによし組『眠る女とその周辺について』作・演出:國吉咲貴

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関西演劇祭で受賞した団体の作品を東京で上演するという企画。ならば観たことのない団体を選んで観るべきなのだろうけれども、オパンポン創造社の『最後の晩餐』は面白いという感想を何度か目にしていながらこれまで未見だったので、この機会に是非とも観たいと思ったし、くによし組の『眠る女とその周辺について』は劇団員の永井一信のために書かれた作品がコロナの影響で公演中止になったことを聞き知っていたので今回観てみようと思って、そんなわけで観劇経験のある2団体の上演回を選択した。ちなみに関西演劇祭なのにどうしてくによし組がと思ったら、参加団体に関西在住という縛りは無いのだそうだ。『最後の晩餐』は隕石衝突によって地球が滅亡する日の物語。死ぬ前にやりたかった事をやるといきなりSMの女王様になった妻と、奴隷に志願した青年と、困惑する夫の姿は可笑しくも哀しい。野村有志の脚本は人間の滑稽さを拡大して描きながらいつも最後は少し優しくてそこがいいと思う。『眠る女とその周辺について』は目覚める事なく眠り続ける女性を中心に、介護が必要なひとを巡って起こる問題が描かれていく。赤の他人なのに彼女の面倒を押し付けられた青年の困惑、彼が暮らすシェアハウスでの他者とのいざこざ。うっかり笑った後にふと我に返って怖くなる、これまで以上にその怖さがじわじわと沁みてくるような作品だった。