劇壇ガルバ『THE PRICE』

1/19 吉祥寺シアターで劇壇ガルバ『THE PRICE』 作:アーサー・ミラー 演出:桐山知也

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親が遺した古い家具に買い取り価格をつけるという行為が、職業とか収入とか学歴とかに価値を見ようとする行為になり、価値とはいったい何を指すのか、誰が何を基準に人間の価値を決めるのかという問いに拡がっていき、夫婦間そして兄弟間のヒリヒリする会話にずっと胸がざわつく舞台。ある出来事をどう受け止めて長い年月を過ごしてきたか、兄と弟が思う事実には大きな違いがあったことが会話を通して明らかになり、立場が違えば見え方も全く異なっていた事を二人は知ることになる。容赦のない展開に驚かされつつ、さらにそこに絡んでくるのがお金の問題で、それこそ金の切れ目が縁の切れ目というけれど、できれば目を背けていたい部分に斬り込んでくるあからさまなお金に係わる恨みつらみは本当に残酷で辛辣だ。濃密でスリリングな会話劇に目も耳も全開にして舞台に集中した。山崎一の芝居を最前列で観ることができたのだけどすばらしかった。出演者4人とも達者な役者さんだけど、今回は高田聖子の受けの芝居のうまさにも感心した。