Makino Play 『モンローによろしく』

2/3 座・高円寺1で Makino Play『モンローによろしく』 作・演出:マキノノゾミ

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公式サイト掲載のあらすじ

<STORY>
物語は1941年、映画の都ハリウッド。新進気鋭の映画監督ビリーとその親友でもあるスター男優のキースは、これまでの常識を打ち破る野心作の製作にあたり、相応しいヒロイン役の女優が見つからず頭を悩ませている。だがそこへ飛び込んで来た女優志望の娘シェリーの中に輝く才能を発見する二人。二人三脚の映画作りが始まるが、やがて日米開戦。終戦後のレッド・パージ(赤狩り)。
世の中がエンターテインメントに望むものも次々に変貌してゆき、映画に賭ける彼らの純粋な想いは容赦なく時代の波に呑み込まれてゆく。

 

作・演出のマキノノゾミが28年前に書いたこの作品は「翻訳劇調の台詞でハリウッドの赤狩りのことを書く」というアイデアが元になったと公式サイトで語っている。今回が初演以来の再演だそうで、翻訳劇調だから敢えてそうしているのか分からないけど、冒頭から俳優たちが肩をすくめたり手を大きく広げたり振り回したり、とにかく大げさな身振り手振りを繰り返す。必要もないのにやたらと手を動かすことは演技の拙さを誤魔化すためのように見えるので私は好きではなく、何でそうするのかなと非常に気になった。開演前に劇場の灯体がすべて舞台上に降りていたのには驚いた。物語の時代背景などを二人の俳優が出てきて語った後、さあこれから始まりますという時に20世紀フォックスのファンファーレが流れて、それに合わせて灯体のバトンが上がっていく演出は面白い。出演者の中では那須凛がとても良かった。女優になることを夢見る20歳のシェリーの「彼女には何かがある」と思わせる魅力、スター女優になったシェリーの華やかでゴージャスな佇まい、そして歳を重ねて50代になったシェリーを発声と椅子に座る姿勢だけで確かに立ち上げる。ひとりの女性の半生を見事に演じてすばらしかった。