東京成人演劇部vol.2『命、ギガ長スW(ダブル)』

3/9『命、ギガ長スW』ギガ組(宮藤官九郎×安藤玉恵

3/23『命、ギガ長スW』長ス組(三宅弘城×ともさかりえ

ザ・スズナリ 作・演出:松尾スズキ

2019年の松尾スズキ安藤玉恵の初演は、当日券に並んでチケット買って観て、もう本当に面白かったので、今回の公演もとても楽しみにしていた。まずギガ組。作・演出の松尾スズキと共にある意味完成形を初演で演じている安藤玉恵が、やはり一度やっている余裕を感じさせて、全体に物語をリードして進めている感があった。こちらも初演を思い出してなぞる見方になっていたところがあり、ああこうだったなとか、ここは松尾さんのやった通りだなとか。クドカン安藤玉恵も笑いの間が絶妙なので安心して笑えるし、この親子のどうしようもなく2人でそれでも生きている感じがウェットになり過ぎないのが良かったと思う。役者としてのクドカンを舞台で観るのはたぶん2003年の「ニンゲン御破産」以来だったのに、ついつい松尾スズキと比べて観てしまったのは反省。戯曲の面白さは言わずもがなで、すごく良い台詞がたくさんあったことにあらためて気が付いた。そして長ス組。ギガ組よりも親子の情愛が強く出ているというか、この母にはこの息子が、この息子にはこの母が、どうしても必要なのだと感じさせる。三宅弘城ともさかりえは、相性のよさが舞台からひしひしと伝わってきて、相手を信じて思い切りやろうという気合に満ちていて、正直ギガ組よりも面白かった。三宅弘城はオサムと教授の演じ分けが本当に上手で、特に教授役、そのあご髭といいシークレットブーツといいビジュアルの造形も含めてサイコーだった。ともさかりえも予想を超えるコメディエンヌぶりで、今まで私が観た出演舞台の中では一番良かったと思う。この作品をまた別のいろんな俳優の組み合わせで観てみたいと思い、東京成人演劇部はこの作品だけ上演する団体でもいいんじゃないかとか思ったりして。