ほりぶん『一度しか』

10/4 三鷹星のホールで、ほりぶん『一度しか』 作・演出:鎌田順也

今年2月にほりぶんの『かたとき』を観に行った時に、秋に「牛久沼8」を上演予定というチラシを見て、これは楽しみだなと思っていたのだけど、この新作に変更されたのはMITAKA“Next”Selectionに選ばれた事と関係しているのだろうか。ともあれ「牛久沼」はまたいつか上演される日を待つとして、今作とこれまで私が観たほりぶんの作品で重なるのは登場人物にバーミアンの店員がいることと霊能者がいるというところで、ワンピース姿の女優陣が今回バトルを繰り広げるのは東京都北区堀切にある古い団地という新設定になっていた。近所の商店が次々閉店していく中で八百屋さんの訪問販売を週一の楽しみにしている事とか、一人暮らしで友人もできずに亡くなったおばあちゃんとか、寂れていく街が抱える問題に薄らと触れつつ、自分を受け入れてほしいという願いとか、受け入れてあげなくては駄目かしらという思いとか、人と人が共存していくことへの目配せもある。といって暗いとか重たいとかは微塵もなく、いつもどおり女優陣のパワフルな絶叫と身体を張った演技を大いに楽しんだ。