ジョンソン&ジャクソン『どうやらビターソウル』

11/15 ザ・スズナリで『どうやらビターソウル』 作・演出:ジョンソン&ジャクソン

俳優の大倉孝二と脚本家・演出家のブルー&スカイによるユニット、ジョンソン&ジャクソン。私は今回が初見なのだけど「くだらない、何の役にもたたない芝居作りを目指す」というからにはもっとナンセンスでわけの分からないものかと思っていたら、いやもちろん非常にくだらない展開もふざけた台詞も満載なのだけど、きちんとストーリー(渡辺真起子扮する一流スターのユキコが余命宣告を受けたことをきっかけに、25年前に同じ夢を抱いていたかつての仲間たちに会いに行く)があって、ちゃんとそれこそタイトル通りのほろ苦い結末に着地したことに驚いた。共同主宰の2人はもちろん、客演の3人が3人ともすごく良い。渡辺真起子は芝居の上手さに加えてコメディエンヌのセンスも抜群で、佐藤真弓のすっとぼけ感は大倉孝二との掛け合いでまさに本領発揮だし、そして役者としてのノゾエ征爾が醸し出す得も言われぬ可笑しみ、その得体の知れなさがもう最高だった。芸達者な面々が繰り出す圧倒的な緩さと丁寧に積み上げられた美しいともいえる切なさの絶妙なバランス。すごく面白かった。次回公演もぜひ観たい。