コンプソンズ『われらの狂気を生き延びる道を教えてください』
11/10 浅草九劇でコンプソンズ『われらの狂気を生き延びる道を教えてください』 脚本・演出:金子鈴幸
とあるラーメン屋の店主、よしこ。彼女はラーメン界でも「元アイドル」という異色の肩書きで営業していた。「究極の一杯」を探求し、ラーメン道を日々邁進する彼女。その日もいつもと変わらない一日のはずだったが……周囲の困った大人、訪れる珍客によって巻き起こされるトラブルに通常営業すらままならなくなり、事態は最悪な方向に暴走していく。
コンプソンズの舞台を初めて観てきた。ジャニーズ、地下アイドル、児童ポルノ、SNSの誹謗中傷、胡散臭いネット記事、統一教会ネタから政権批判まで、これでもかと詰め込んだ上に時間軸が前後する展開なので、今これはいつの話だ?と少々戸惑うところはありつつも迷子になる事はなく一気に観終わったという感じ。意地悪な笑いというか、うっかり笑ってしまったあとにヤバいと思うような、もしくはワンテンポ遅れてジワジワ可笑しみが沸いてくるような作品だ。客演の男優陣が問題ありまくりの人物たちを面白哀しく演じていて皆さんとても達者だった。全体がひとが死ぬ間際に見る人生の走馬灯という枠に入っているのだけど、最後は自分らしく前を向いて生きていく選択を応援するような終わり方になっていて、捻くれているようで後味はよい作品だった。