『VAMP SHOW』

8/24  PARCO劇場で『VAMP SHOW』 作:三谷幸喜 演出:河原雅彦

山奥の駅で起きる一夜の出来事を描いたワンシチュエーションコメディ。序盤は少々テンポが悪いというか段取りを意識し過ぎというか、全体にギクシャクした印象を受けたのだけど、物語が進むにつれて少しずつ堅苦しさがなくなって観ている方も楽になった。いまどきの吸血鬼たちは人間を襲って自分たちの仲間をこれ以上増やすことを互いに禁じ、献血車を襲って血への飢えをしのいでいる。それ以外に特にやることもない5人は日本中を楽しく旅していたのだけど、一人の女性との出会いですべてが引っくり返ることになる。途中でお化け屋敷的なビックリはあるけれどホラー要素は控えめで、それよりも5人の吸血鬼たちの関係が物語の最初と最後であり得ないほど変わるところに「こういう話だったのか」という驚きとほろ苦い切なさが残る。ホラーコメディと聞いて想像するよりもずっとヒューマンドラマ(人間じゃなくて吸血鬼だけど)な舞台だと思った。そして私は初演も再演も観ていないけれど、当時の出演者の名前を眺めているだけで楽しい。再再演に付いてきた嬉しいおまけという感じ。