NTLive『ロミオとジュリエット』

2/1  シネ・リーブル池袋でナショナル・シアター・ライブ『ロミオとジュリエット』 原作:ウィリアム・シェイクスピア 演出:サイモン・ゴドウィン

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コロナで閉鎖された劇場に集まり、上演予定だった舞台を17日間かけて撮影したというこの作品は、劇場自体をそのまま背景にして演じられる物語に映画のように編集されたシーンを髄所に取り入れ、愛し合う恋人たちのその出会いから死までを100分で描くロミジュリだった。「ゴッズ・オウン・カントリー」(大好きな映画!)で主人公をとても魅力的に演じていたジョシュ・オコナーがロミオを演じていて、他にもこれまでNTLiveで観た舞台で強く印象に残った俳優たちが出演していて嬉しい。昨年の「十二夜」でその演技に圧倒されて目が釘付けだったタムシン・グレイグが高圧的で冷厳なキャピュレット夫人、「アマデウス」でサリエリの鬱屈した内面を繊細に演じてすばらしかったルシアン・ムサマティがロレンス神父、「コリオレイナス」で息子を叱咤激励して戦に駆り立てる母親を強烈な個性で見せたデボラ・フィンドレーがジュリエットの乳母、などなど巧みな俳優たちによる見応え十分な場面の連続だ。演出のサイモン・ゴドウィンが語っているように、この作品には演劇や劇場に対する愛、そこに係わる人たちへの愛が確かに詰まっている。コロナ禍の中で何ができるか、世界の劇界でさまざまな試みが行われていて、そうして生まれたこのロミジュリはもちろんすばらしい作品だけれども舞台として上演されたものも観てみたかったという気持ち。劇場で空間と時間を観客と共有することで演劇は完成するものだと思うので、先はまだまだ見通せないけれど早く劇場に当たり前の日々が戻ってきてほしいとあらためて思った。

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