国立劇場新春歌舞伎公演『南総里見八犬伝』

1/3 国立劇場で『南総里見八犬伝』 作:曲亭馬琴 脚色:渥美清太郎

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国立劇場初芝居初日を観たのは初めてだけど満員御礼の賑わいだった。毎年こうなのかなと思ったら、ロビーで聞こえてきた会話によると去年はガラガラだったらしい。コロナの影響もあっただろうし、今年は演目が八犬伝というのもあるのだろうと思う。NHKの人形劇「新八犬伝」に親しんだ身としては、歌舞伎でこの演目を観るのは初めてでもお話自体に馴染みがあり、仁義礼智忠信孝悌は耳が音で覚えている。菊五郎さんは昨年観た時よりもさらに動作がゆっくりになった印象だけど声はとてもよく出ていて貫禄十分。久しぶりに観た左團次さんもお元気そうでなにより。全体にはもう少しテンポよく進まないものかなと少々もたつく感じがしたし(これは初日ゆえかも)、大屋根の立ち回りは今一つ迫力不足で、あと討手たちの忍者みたいな赤黒のコスチュームにはちょっと違和感。とはいえ分かりやすくてお正月らしい華やかさもある演目で、大向こうはまだ禁止だけれどもそこここで大きな拍手が起きて、初芝居を楽しむ高揚感が劇場中に満ちていた。