NTLive『ジェーン・エア』

12/23 シネ・リーブル池袋でナショナル・シアター・ライブ『ジェーン・エア』 原作:シャーロット・ブロンテ 演出:サリー・コックソン、トム・モリス 

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元々の上演時間は4時間半だったものをNTLive用に3時間半(休憩10分含む)にして撮影したのだそうで、原作にはかなり忠実だしジェーンの幼少期などは丁寧に描いているし誰のものでもない自分の人生を自由に生きたいと願うジェーンの強い想いもしっかり伝えているのだけれど、ジェーンとロチェスター氏が惹かれ合っていく過程については少々飛ばし過ぎという感じがした。短くなった1時間の中で描かれていたのかもしれないけど、最初は反発しあっていた2人が会話を重ねていく中でお互いを理解していくところにあまり時間が割かれていないので、なぜこの2人が恋におちたのかが分かりづらくなっていた気がする。とはいえこの舞台は演劇ならではの表現に満ちていてとても面白かった。ジェーン役のマデリン・ウォーラルは10歳の子供時代から大人になるまでを一人で演じ分け、他9人の俳優たちは何役も兼ねていてクルクルと役をこなしながら年齢も性別も職業も違う人物たちをあっという間に立ち上げていく。ロチェスター氏の飼い犬も俳優が見事に演じる。木枠を組んだシンプルな舞台で俳優たちが階段や梯子を上ったり下りたりするたびに場面が変わり、ジェーンの心の葛藤を4人の俳優たちが掛け合いで語るシーンも面白い。また舞台上にはバンドがいて生演奏をしているのだけど、ジェーンの思いを代弁するような音楽の使い方もよかった。後半はけっこう端折って物語が進むのだけどきちんと筋は通っていて、原作と比較する観方ができたのも楽しかった。