再読もろもろと、シャーロット・ブロンテ『ジェーン・エア』

数年前、生きてるうちにあと何冊本を読めるだろうかとふと考えて、そうだ若い頃にほとんど触れてこなかった海外文学の古典を意識的に読もうと決めたのだけど、気を抜くとついつい枕元に積んである手持ちの本に流れてしまって、9月後半から11月は読んだ順に、アガサ・クリスティ検察側の証人』『ナイルに死す』、トマス・ハリス羊たちの沈黙』『ハンニバル』、ジョン・ル・カレ『ナイトマネジャー』『寒い国から帰ってきたスパイ』、アゴタ・クリストフ悪童日記』『ふたりの証拠』、カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』を再読した。 そして次回のNTLiveが『ジェーン・エア』を上映するということで、ブロンテの古典を「大胆でダイナミックに自由と充実感を求めて戦う一人の女性を描いた舞台にしている」と宣伝文にあるからには原作を読んでおかなくてはと思い上下巻購入。

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11/28 シャーロット・ブロンテジェーン・エア』読了。

結婚式の当日に相手が既婚者であったことが発覚するとか、死にそうになっていたところを偶然助けてくれた一家が実は血のつながった親戚であったとか、やっと再会した恋人が視力を失っていたとか、物語の後半はまるで韓流ドラマかというようなメロドラマ的展開に苦笑してしまったのだけれども、当意即妙の受け答えができる頭の回転の速さを持ち、迷ったり悩んだりしながらも自分が生きていく中でこれだけは譲れないという芯がぶれないジェーンは、とても魅力的なキャラクターだ。そして文庫のあとがきにもあったけれども、主人公の女性が器量よしではないこと、物語の中で結ばれる2人が美男美女でないことは、この小説が書かれた時代には異例のことだったらしい。決して美人ではないけれども印象に残る個性的な顔立ちだと書かれるジェーンは、見た目ではなくてその人間性、人としての内面を深くしっかりと描かれることで、多くの女性読者の共感を得たことだろうと思う。自分が何を望みどう生きたいか、他者に頼ることなく自ら道を選んでいく姿には清々しさと勇気を感じた。この原作が現代の視点でどのように舞台化されたのか、NTLive上映が楽しみだ。