『佐々木、イン、マイマイン』

8/2 キネカ大森で『佐々木、イン、マイマイン』

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もうどこでもやってないだろうなと諦めた頃に気になっていた映画を上映してくれるキネカ大森ありがとう。監督の内山拓也を始め出演俳優もスタッフも20代30代を中心に作られたというこの映画は、観客を物語に引き込む熱量と勢いに溢れていた。いつしか疎遠になった友人がいて、もう何年も音信不通で普段の生活の中で考えることもない、それでも確かにあった忘れがたい時間や交わした言葉。お調子者ですごい負けず嫌いで、でも実は気にしいで親に放置された孤独を抱え自分の将来には諦念を感じている佐々木(細川岳)。彼の存在と生き様を通して、投げやりにいい加減に生きていた悠二(藤原季節)は自分の人生を見つめ直し逃げずに向き合う覚悟を決める。人生詰んだような佐々木の現在、でもその時はきっと幸せだったに違いないエピソード(バッティングセンターに一人通い続けてたこと、心を許せる女性との出会いがあったこと)に胸を打たれる。生きてれば小さな光が差す瞬間もあって、佐々木!佐々木!というコールは、きっと観客に向けてのコールでもあるのだと思う。細川岳も藤原季節もとても良かったし、いい映画だった。あと霊柩車から佐々木が全裸で飛び出してくるラストシーン、あれは実際に佐々木が生き返ったんじゃなくて、この方が佐々木らしい、こうなってほしいという悠二の空想の世界だと私は解釈した。

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