『Our Friend/アワー・フレンド』

10/20 シネスイッチ銀座で『Our Friend/アワー・フレンド』

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実話をもとにしたストーリーとの事で、マットとニコルの夫婦と友人であるデイルの強い絆と交流を描いた作品。ニコルが余命宣告されたことを知ったデイルは、マットと共にニコルの看病をし、小さな娘たちの食事や送り迎えの面倒をみて、一家の生活に寄り添っていく。最初は半月ほどを一緒に過ごすつもりだったデイルが、どうしてニコルが最期を迎えるまでの2年間、一家を励まし支え続けるという選択をしたのか。もとのエッセイを未読なので事実はどうだったのか分からないけれど、映画ではデイルが自死も考えるほど非常に辛い思いを抱えていた時に、彼を絶望から救ったのがこの家族の存在だったというエピソードが描かれている。もちろん恩を返すという気持ちだけではなく、デイルはマットとニコルのことが本当に大好きで、2人の娘たちのことも心から可愛がっていることが、現在と過去の出来事が交互に描かれていく中でひしひしと伝わってくる。デイルは他者に対する思いやりと優しさにあふれたとても良いひとだ。愛するひとたちのために何ら見返りを求めることなく自分にできると思うことは何でもする。そして一緒に暮らしていてもデイルはやはり第三者で、だからこそ言えることやぶつけたい想いがマットにもニコルにも子供たちにもあって、死を待つ辛い2年間の中で家族にとってデイルはなくてはならない存在になっていくのだ。魅力的なキャストたちによって人と人の繋がりをあたたかく伝える良い映画だった。また劇中に度々出てくる空撮のシーンがとても印象的で、この世での命がなくなってもこうして空から見守っているというメッセージなのかなと思ったりした。