三月大歌舞伎から『熊谷陣屋』『雪暮夜入谷畦道』

3/17 歌舞伎座で、仁左衛門さんの『熊谷陣屋』、菊五郎さんの『雪暮夜入谷畦道』

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『熊谷陣屋』 仁左衛門さんの直実は、身替りにしたわが子小次郎への想いを今まで以上に深く丁寧に演じている印象で、子を失った直実の哀しみが切々と胸に迫ってくる。ピンと張り詰めた空気が劇場を満たして観客も舞台から目が離せない。ただし仁左衛門さんが出ていない場面はちょっと中弛み気味。孝太郎さんの相模、歌六さんの弥陀六がとても良かった。

『雪暮夜入谷畦道』 菊五郎さんの直次郎と時蔵さんの三千歳は、何度も共演を重ねているだけあってとても息が合っていて、二人が強く想い合っていることがよく分かる。東蔵さんの按摩の丈賀がいい味わい。「直侍」は久しぶりに観たけど、今年79歳になるとは思えない(台詞は少しゆっくりになった気がするけれども)菊五郎さんの粋な小悪党ぶりを堪能した。