三月大歌舞伎から 第二部『河内山』『芝浜革財布』

3/16 歌舞伎座で『河内山』『芝浜革財布』 

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『河内山』 仁左衛門さんが体調不良のため9日から当面休演と聞いて、やはり吉右衛門さんのことが頭に浮かんでとても心配したけれども、この16日から復帰となって、長患いになるような事がなくて本当に良かったと思った。仁左衛門さんの河内山が花道から登場したところで場内からは大きな拍手が起きて、待ってました、お帰りなさいの気持ちが歌舞伎座いっぱいに溢れていた。歌舞伎界で今、一番集客力があるのは間違いなく仁左衛門さんで、出演公演が休みなく続いているので(来月も玉三郎さんとの共演だ)お身体大切にと願わずにいられない。この日は休演明けという意識がこちらに働いたせいか、いつになく声に張りがないような、立ち居振る舞いもゆっくり確かめながらというように感じられて、大丈夫かなとちょっとドキドキしたけれども、芝居が進むにつれてそんな心配はどこかに吹き飛んで、小狡さの中にも愛嬌があり品の良さをにじませる仁左衛門さんの河内山を堪能した。

『芝浜革財布』 久しぶりに「芝浜」を観た。菊五郎さんも左團次さんも最近観た芝居の中ではいちばん元気で声もよく出ていて、舞台を楽しんで演じている様子にこちらの顔もほころんでしまった。長屋の面々も息が合っていて、アンサンブルの良さが伝わってくる。駄目な亭主と支える女房の話なのだけど、長屋の宴会シーンでそれぞれが自分の女房自慢をするところが可笑しくてかわいくて良い。笑ってホロリとして、いい話だなあとあらためて思った。