二月大歌舞伎から 第二部『於染久松色読販』『神田祭』、第三部『奥州安達原 ~ 袖萩祭文』『連獅子』

2/17 歌舞伎座で、仁左衛門さん玉三郎さんの顔合わせで『於染久松色読販』『神田祭』、十七世中村勘三郎三十三回忌追善狂言の『奥州安達原』『連獅子』

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『於染久松色読販』 「お染の七役」の内、土手のお六と鬼門の喜兵衛が登場する二場の上演。私は玉三郎さん演じる「伊勢音頭恋寝刃」の底意地悪いしたたかな仲居の万野がすごく好きなのだけど、土手のお六もすっきりとした姿かたちの中に背負った闇が滲んでいてとても良い。仁左衛門さんの喜兵衛はその悪の色気と凄みに只々うっとりする。ひとつひとつの見得も観客を惹きつけて止まない魅力あふれる喜兵衛だった。

神田祭』 強請たかりの悪徳夫婦から打って変わって、粋な鳶頭と艶やかな芸者の二人がもう溜息が出るほどの圧倒的な美しさ。まさに眼福。お互いに相手を信頼していることが伝わってくるし、特に玉三郎さんを見る仁左衛門さんの眼差しのなんと優しいこと。二人のラブラブ感に眩暈がしそうだった。ああ良いものを観たなあという気持ち。

『奥州安達原 ~ 袖萩祭文』 七之助さんの袖萩は初役との事で、頑張っているのは分かるけど段取りめくところがあって今ひとつ袖萩の哀しみが伝わってこない。追善狂言ということで豪華な配役になっており、歌六さんと東蔵さんが勘当した娘の袖萩に対する想いを巧みに演じていてとても良かった。

『連獅子』 勘九郎勘太郎親子による連獅子。中村屋の踊りの芸は確実に引き継がれているようで、非常に見応えがあった。勘九郎さんの親獅子はもちろん良かったけど、仔獅子を勘太郎さんがとてもしっかり踊っていて感心した。