町田康『ホサナ』

1/19 町田康ホサナ』読了。

今年の元旦、文庫本を20冊ほどBOOK-OFFに売りに行ったのだけど、売り場をぶらついてたら「ま行の作家」の棚にこの本が非常にきれいな状態(頁をめくった形跡がほとんどない)であるのを見つけて思わず購入。文庫で928頁の大長編だけど、主人公である「私」と私の「飼い犬」との会話とか、犬芝居(まさしく犬が演じる芝居)の台詞のアテレコ部分とか、くだらないのだけど絶妙に的を得た例えとか、筆が乗って止まらない勢いとリズムに巻き込まれる快感。「普遍的価値」と「個人の欲望」の狭間で、人間の卑小さ・小狡さが浮き彫りになっていく。人に対する冷厳な観察眼と、それでもどこか柔らかさも含む眼差しと。町田康の小説はやっぱりすごく面白い。