NTLive『夜中に犬に起こった奇妙な事件』
12/30 シネ・リーブル池袋でナショナル・シアター・ライブ『夜中に犬に起こった奇妙な事件』 原作：マーク・ハッドン 脚色：サイモン・ステファンズ 演出：マリアンヌ・エリオット
是非もう一度観たいと思っていた作品で、今回のアンコール上映で願いが叶った。舞台を真上から撮った映像が多く使われていて、非常に美しく計算されたプロジェクションマッピングの仕事ぶりにあらためて感嘆する。自閉症スペクトラム障害を持つクリストファー、彼を心から愛しながらもうまく気持ちを伝えられない父親、息子を置いて家を出たことを悔やみながら手紙を書き続けてきた母親。互いに対する苛立ちや憤り、不信の感情に根差す対立を経て、少しずつ家族の形が再構築されていく。この作品では支援学校でクリストファーを担当する先生の言葉がとても良い。あなたならきっとできると励まし、できたことは心から誉めて自分の事のように喜ぶ先生の存在は、人間の善良な部分を信じる思いの表れであり殺伐とした世界の中で救いと映る。自分はなりたい自分になれる、夢を実現できると信じているというクリストファーの言葉でおわるこの物語は、一歩を踏み出す勇気と優しさを称えて胸に響く。もう一度観られてよかった。今回のNTLiveで上映したものとは別の予告動画だけど貼っておく。
