『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』『アンタッチャブル』

10/6 UPLINK吉祥寺で『サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』

10/7 目黒シネマで『アンタッチャブル

f:id:izmysn:20211008150705j:plain
f:id:izmysn:20211008150713j:plain

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~』 突然難聴になってしまったドラマーのルーベン。恋人のルーとメタルバンドを組んでいるルーベンは、音のきっかけ(キュー)を出すようルーに頼み何とかしてツアーを続けようとするのだけど、病状を案じたルーは難聴者のコミュニティにルーベンを連れていく。子供たちに交じって手話のABCから学び、難聴であることをハンディキャップと受け止めない人々と過ごす中で、ルーベンは戸惑い苛立ちながらも自分の身に起きた現実と向き合っていく。この映画は全世界で「バリアフリー字幕」での上映を行なっているそうで、映画の中で「音」が伝えている情報を文字にして表示し、話者の名前を台詞と同時に表示して話しているのが誰か分かるようにもしている。バリアフリー字幕で映画を観るのは初めてだったけれども、聴力を失っていくルーベンの耳に届く状況が(ひずんだ話し声)とかそれこそ(無音)という字幕によってより一層切実に感じられた。恋人と別れコミュニティも離れたルーベンがこれからどんな人生を歩むのか映画は示さない。でも彼だけの静寂に身を置いて街中に佇むルーベンの姿から前を向いて進もうとする決意が伝ってきて、胸に迫るラストシーンだった。

アンタッチャブル』 2本立て上映館の目黒シネマ、今回はショーン・コネリー特集ということで『ザ・ロック』との併映だったのだけど、これが『薔薇の名前』だったら何としてでも2本観たと思う。ということで『アンタッチャブル』のみラスト1本割引¥1,000円で観てきた。監督ブライアン・デ・パルマ、音楽エンニオ・モリコーネ、そして衣装がジョルジオ・アルマーニだったことは今回クレジットを見て初めて気が付いた。1987年の公開時に57歳だったショーン・コネリーが、賄賂を受け取らず汚い仕事を一切しなかったがために出世を逃した老警官マローンを演じて、そのダンディで温かみとユーモアに溢れた人物像からは007のイメージは全くなく、アカデミーとゴールデングローブで助演男優賞受賞も納得の存在感だ。財務省の簿記係ウォレス役のチャールズ・マーティン・スミスが巧い。ほとんで無名でエリオット・ネス役に抜擢されたというケビン・コスナーはなんだかやたらハンサムだ。新人警官ストーンはアンディ・ガルシア、この時30歳か、若くてギラギラしていてすごく良い(歳を重ねた今の方が数段セクシーだと思うけど)。ロバート・デ・ニーロアル・カポネはその成りきりぶりも見事だけど、非情な悪党を嬉々として楽しそうに演じている。あらためて俳優陣の演技が本当にすばらしくて、そしてなんと言ってもあの大階段のシーンの圧倒的な面白さ。スクリーンでもう一度観られて大満足だった。