『ファーザー』

6/1 TOHOシネマズシャンテで『ファーザー』

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監督のフローリアン・ゼレールが2012年に発表した戯曲「Le Père 父」の映画化。元になった舞台は日本でも2019年に橋爪功主演で上演され大変高い評価を受けていて、でも私は残念ながら舞台は未見。認知症の父親の視線で描かれる世界は、現実と妄想の境界が曖昧になり、現在なのか過去なのか時間は混乱し、何が起きているのか分からない不安と哀しみは観客にも伝染していく。登場人物は6人で、父親が私の家だと主張する建物の中だけで物語が展開するのが、とても舞台劇っぽい。さすがアンソニー・ホプキンズは圧巻の存在感だけど、出演している俳優たちがみんなすばらしくて、特に父に寄り添い支えながらも自分自身の人生の選択とのはざまで葛藤する娘を演じたオリヴィア・コールマンが非常に良かった。