こまつ座『父と暮せば』

5/27 紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで、こまつ座父と暮せば』 作:井上ひさし 演出:鵜山仁

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この作品は20年ほど前に埼玉会館で一度観たことがあって、それ以来の観劇だったのだけど、自分でも驚くほど細かい台詞とかを覚えていて、それだけ印象に残っていたことに気付くとともに、あらためて井上ひさし作品の持つ力を感じる日になった。私の席は後方で役者の表情をはっきり見ることはできなかったのだけど、巧みな台詞から父娘ふたりの心情や光景がしっかりと伝わってきて、恋人の木下さんは舞台には登場しないけど私にはその姿がはっきりと見えたし、この言葉たちは朗読劇として上演しても十分に伝わるものだったのだなあと思った。自分だけがしあわせになることはできないと言う娘の背中をやさしく押す父親の亡霊。山崎一も伊勢佳世も本当に素晴らしかった。カーテンコール、力いっぱい拍手した。亡くなった者が遺された者に「生きること」を託すという芝居を二日続けて観ることになったけど、多くのひとの命を奪う悲惨な出来事があった事実を忘れてはならないという思いを新たにする昨日今日だった。