『ドント・ルック・アップ』

1/5 シネ・リーブル池袋で『ドント・ルック・アップ』

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今作もアダム・マッケイ監督の毒が随所に盛り込まれたブラックコメディ。出てくるのはどこからどうみても問題のある人物ばかりで、それを豪華な俳優陣が嬉々として演じている。徹底的に政府の無能ぶりをあげつらって、いくらなんでもここまでひどくはないだろうと思いつつも、いや拡大解釈でも誇張でもなく実際のところこうなのかも、といううすら寒さも伝わってくる。巨大彗星の衝突を防いで地球を救うヒーローが出てくることもなく(まあそういう胡散臭い計画はあっても見事に失敗して責任者はいちはやく宇宙に逃亡するのだけど)、彗星は予定通りに地球を直撃し、愛する家族や友人たちと最後の食卓を囲む人々の命を容赦なく奪う。駄目なトップの失政の結果、そのしわ寄せはいつもこちらに来るわけで、腹立たしくて可笑しくて怖くて辛辣な映画だった。