『ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実』

3/31 シネマート新宿で『ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実』

ベトナム戦争で多くの兵士の命を救った実在の米空軍兵ウィリアム・H・ピッツェンバーガー。1999年、ペンタゴンのエリート職員ハフマンは、30年以上も請願され続けているピッツェンバーガーへの名誉勲章授与について調査を命じられる。最初は全く乗り気でなかったハフマンが、彼の両親や戦友たちに会って話を聞いていくうちに、いつしかこの調査にのめり込み、1966年のベトナムで一体何があったのか、その事実が少しずつ明らかになっていく。敵地で孤立した陸軍中隊の救助に向かったヘリから、その身ひとつで激戦の地上に降り立ち、負傷した兵士たちを何人も助けながらも自らは銃弾に倒れて亡くなったピッツェンバーガーの行ないには非常に胸を打たれる。けれども、なぜ彼への名誉勲章授与が長年見送られてきたのか、その理由は今ひとつはっきりしない描かれ方だと感じた。この映画では、ウィリアム・ハートエド・ハリスなど、ピッツェンバーガーに救助されて帰還したものの心に傷を抱えてその後の人生を生きてきた退役軍人たちを演じた俳優陣がとても良い。そしてピッツェンバーガーの父親を演じた故クリストファー・プラマー、すばらしかった。物語に深みと奥行きを与える名優たちの演技に引き込まれた。「ラスト・フル・メジャー」とは「最後の全力を尽くす」というような意味だそうで、これはもちろんピッツェンバーガーの行動のことであり、また彼の名誉勲章授与に向けて戦ったハフマンの姿も指しているのだと思った。 

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