『アーリントン』〔ラブ・ストーリー〕

1/27 KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオで『アーリントン』〔ラブ・ストーリー〕 作:エンダ・ウォルシュ、演出:白井晃

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 白い待合室の中で、自分の番号が呼ばれることを待っているアイーラ(南沢奈央)。監視カメラのモニター越しに彼女を見つめ話しかける若い男(平埜生成)。物語が進むにつれて、アイーラは自分の年齢を忘れるほど長い年月、この部屋に閉じ込められていることが分かり、建物の外の世界が生者と死者を峻別する恐ろしい管理社会であることを観客は知る。最初にアイーラのほぼ一人語り、次にダンスがあって、最後はアイーラを逃がして捕まった若い男と管理者の会話という3部構成になっている。ディストピア物では主人公がしあわせな幻影を見るラストシーンはよくある気がするのだけど、そこがまさに副題の〔ラブ・ストーリー〕だった。どんな理不尽な世界でもひとがひとを想う気持ちは止められないのだ。