午前十時の映画祭『シャイニング 北米公開版』

7/28 TOHOシネマズ日本橋で『シャイニング 北米公開版』

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今年の4月に復活した「午前10時の映画祭」。1980年に日本で公開された時の“国際版”よりも24分長い“北米公開版“(143分)の『シャイニング』を観てきた。オープニングの空撮ショットからすでに何とも言えない不気味な空気にゾクゾクする。これまで上映されなかったシーンに触れる新鮮さもあって、この映画を観るのが全く初めてのような感覚で展開を追った。狂気に落ちていくジャック・ニコルソンの演技は確かにすごいのだけど、どこかしらコミカルというかユーモアも感じられるのに比べて、妻役のシェリー・デュヴァルの恐怖に駆られ精神的に追い詰められていく迫真の表情が今回はむしろ恐ろしかった。そして舞台となるホテルの広い空間と高い天井、息子のダニーが三輪車で走り回る長い長い廊下、いくつも並んで続くドアなど、建物自体の大きさがそこに置かれる人間の孤独や疎外感をより強調するものになっているようにも感じた。謎は残されたまま明かされず、もう一度観た時にはきっとまた違う感じ方があり、新たな見方ができる映画なのだと思う。そして物語とは全く関係ないのだけど、この映画のジャック・ニコルソンが時々レオナルド・ディカプリオに見える瞬間があって、なんだこれはと思って、いや逆か、今のディカプリオがこの当時43歳のジャック・ニコルソンに似ていると言うべきか。もともとの顔立ちは全く違うのに、目の使い方とか顔の筋肉の動かし方とか笑顔がふっと真顔に戻るその間の取り方とか、映画を観ながら「あ、またディカプリオだ」と何度も思ってそれが今回の一番の驚きだったかも。

↓『シャイニング』の解説は 1:34:30 あたりから

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