『子午線の祀り』

3/19 世田谷パブリックシアターで『子午線の祀り』 作:木下順二、演出:野村萬斎

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コロナバージョンということで、2017年版の公演からキャストを約半数に減らし上演時間も短くしたのだそうで、今回が初見のわたしには過去の公演との比較はできないけれど、とても面白く観ることができた。「平家物語」を題材に古典と現代劇を融合し、劇中の独白、対話、群読のうち、対話以外は語りという点がこの作品を独自なものにしていて、緩急、強弱、高低などの語りの技術については演出の野村萬斎が細かいアドバイスをくれたという成河のインタビュー記事を観劇後に読んだけど、確かに語りの部分は全体にかなり良かったと思う。一幕の前半は平知盛野村萬斎)視点、後半は源義経(成河)視点で争いの背景を伝え、二幕で壇ノ浦の合戦の様子、戦に敗れた知盛の自死という流れはシンプルで分かりやすい。争いの世の無常。天(自然界)からの視線で描かれる人間の卑小さ。最後にもう少し、死を決意するまでの知盛の葛藤を観たかった気はする。回転する三日月形の舞台の使い方がおもしろく美しい照明も印象に残った。